著者プロフィール
兵藤有生（ひょうどう　くにお）左
東化研株式会社取締役会長。1940年、愛知県生まれ。1957年 、愛知県立安城農林高等学校畜産科卒業。東京・麻布のハム会社を経て、1965年、友人と世田谷にＰＣＯ（東化研株式会社）を創業。1984年、同社を分離独立して横浜に同名会社を設立。半世紀に及ぶ、乾燥食品害虫を主体としたコンサルタントの実績は高く評価され、環境大臣表彰などいくつもの受賞歴を誇る。国内はもとより、中国、タイ、フランスなど世界各国の鑑定調査を請け負っている。

監修者プロフィール
林 晃史（はやし　あきふみ）右
防虫科学研究所長。1934年生まれ。1956年静岡大学農学部卒。1959~75年、大正製薬(株)研究部勤務。1975年より千葉県衛生研究所医動物研究室長、1989年より同研究所次長を経て、1994年退職後、現職。元東京医科歯科大学医学部講師。農学博士。医学博士。著書にロングセラー『虫の味』（篠永 哲氏との共著）、『実用ガイド「食」の害虫トラブル対策―食品製造現場から食卓まで』『なぜゴキブリは絶滅しないのか　殺虫剤の進歩と限界』などがある。

 

 

 

 

粉につく虫の事件簿

 

第10話

昆虫標本だけにいるわけじゃない虫

ヒョウホンムシ科

 

◎新宿の飲食店にて

事件が起こる2年前のことだった。虫の専門家としてはまだ駆け出しのころ、新宿にある雑居ビルのネズミ駆除を依頼された私は、独自に開発した殺鼠剤に気をよくしていた。なぜなら、ネズミ駆除に効果を発揮していたからだ。ところが、それから2年、その殺鼠剤が天井裏に置かれたままになろうとは……誤算であった。
殺鼠剤には、ネズミの好みそうなパン粉、小麦粉、コーリャン（モロコシ）、ほかにも数種類の●●が配合してあったので、そこに虫が発生してしまった。中華料理店の天井で増えた虫たちは、何かの拍子に天井の隙間から落ちて見事に客席の料理に混入。客からのクレームに慌てた店主から、私のところに調査の依頼が入ったのだった。

・・・続きは書籍『招かれざる虫』でお楽しみください。